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2020.08.28 Friday

ストーカー規制法について(その5)

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    ストーカーの成立要件の4つめは「反復」です。

      て碓譴亮圓紡个靴董△弔まとい等行為を反復すること

    です。

     

    1回のつきまといなどの行為では成立せず、複数回行われることが必要となります。同じ行為を繰り返す必要はなく、つきまとい1回と無言電話1回、著しく粗野な言動2回という場合でも「反復」したといえます。

     

    ただ、複数回あればOKということではなく「反復」といえなければなりません。4〜5回の行為があれば問題ないと思いますが、2〜3回だと微妙という感覚です。

    また、間隔やペースも問題になります。「毎週月曜に見張りをしている」というのであれば、間隔が1週間あいても「反復」に該当するでしょうが、「ある日にメールを立て続けに3通送った後、その後しばらく何もせず、1週間後になって突然メール送信を再開した」という場合は、最初の日のメールと1週間後のメールが「反復」の関係にあるかは微妙だと思います。

     

    このように「反復」は、反復とは何かという点や、具体的な事件で反復したと認められるかという点で問題となります。

    しかし、実務でそれ以上に問題となるのが罪数です。

     

    罪数という言葉はなかなか聞き慣れないと思いますが、簡単に言うと「犯罪の個数」のことです。

    ここでは罪数論に深入りすることはしませんが、ストーカーの関係では、反復する行為が全体として1つの犯罪になる、ということが重要なポイントです。

    多くの犯罪では、日時や場所が異なれば別の犯罪になるのが通常です。たとえば、Aさんに対して、8月1日に脅迫し、その後8月2日にまた脅迫した場合、ふつうは2つの脅迫罪が成立します。

    ところが、ストーカーの場合、Aさんに対し、8月1日につきまとい、8月2日に無言電話をかけ、8月3日に名誉を害する事項を告げ、8月4日に動物の死体を送り付けた場合、これら4つの行為が犯罪としては1つの犯罪になってしまうのです。

     

    罪数論は法定刑の重さの関係(併合罪加重の有無)でも問題となりますが、実務では逮捕勾留の回数の点が特に重要です。1つの犯罪では逮捕勾留が原則1回しかできない、2つ以上の犯罪でないと再逮捕できないという点です。上の脅迫の事例では、8月1日の脅迫と2日の脅迫で別々に逮捕勾留することが理論上可能です。捜査の途中で8月3日の脅迫の事実が明らかになった場合には、その8月3日の脅迫の事実で別に逮捕勾留する選択肢があります。

    ところがストーカーの場合反復するものがひっくるめて1つの犯罪になるため1回しか逮捕勾留できません。上の事例では1回しか逮捕できませんし、捜査の途中で8月5日の待ち伏せが明らかになったとしてもその事実で別に逮捕勾留することはできません。

    つきまといや待ち伏せといった行為と、無言電話や名誉を害する事項を告げる、動物の死体を送り付けるというような全く態様の異なる行為が1つの犯罪とされているのです。反復する行為が全体として1つの犯罪になる場合としては、常習累犯窃盗や常習痴漢などがありますが、同種の態様の行為がまとめて1つの犯罪となる場合がほとんどです。全く態様の異なる行為がまとめて1つの犯罪になるのは、それこそストーカーくらいだと思います。

     

    いずれにしても、捜査機関としては、1回の逮捕勾留で決着を付ける必要があります。

    そしてこのことにより、ストーカー犯罪の捜査の特性もあって捜査が非常に忙しいものになります。